【読書】「遊びが学びに欠かせないわけ―自立した学び手を育てる」


遊びが学びに欠かせないわけ―自立した学び手を育てる
築地書館
ピーター・グレイ

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子供を持つ親、教育関係者、スポーツ指導者、ビジネスマン、政治家、行政職=全ての人に薦めたい本!
子どもが生まれて以来、子育てに関する本はいくつか読んだけど、自然人類学者として、この本ほど納得できた本は他にありません!(サラ・ハーディー「マザーネイチャー」以外で)
色々科学的な風を装っていても、「狩猟採集社会でそれはないんじゃない?(無理じゃない?)」って子育て論が多いので(特に最近は「脳科学~」とうたっているものは要注意)。

「遊び」がいかに「学び」や「創造性」にとって重要なのか、を部分的に説いた本は他にもあると思います。
でもこの本の凄みは、「生物学的、心理学的な基盤」、「実践(異年齢の子供達が自由に学ぶ『学校』)」、「人類学(自然人類学&文化人類学)の知見」の三つの観点が網羅されていて、面白いうえに非常に説得力があります。

大人でさえも、遊んだ後や遊びの文脈での方が、創造的に問題を解決できる、という研究や、子どもにだけでなく大人にとっても遊びがいかに重要か(特に「創造的な活動」において)、という事例も多くあげられているので
子育てや教育に関わりがない人でも仕事に活かせるヒントが沢山。
(そして「評価」がごく一部の既に能力が高い人の能力をさらに高める効果しかなく、能力に自信のない人や初心者の「学び」をいかに阻害するか、という研究も)

それから、「異年齢の子どもの遊び」の重要性が、これ程強調されている本は珍しいと思います。
自然人類学的にも納得できるけど、経験的にも納得できます。
(同年齢の子ども3人以上のグループより、異年齢の子ども3人以上のグループ方が、大人が関わる度合いが少なくて済む)

動物園での展示やエンリッチメント、イベント企画のヒントになりそうです。

きっとAI(人工知能)研究の最先端では、ビッグデータの解析よりも、「(AI同士で)遊べるAI」の開発に取り組んでいる人達がいるに違いない、と思いました。

本書で繰り返し述べられているのが「遊びは非常に民主的だ(民主的でないと遊びは成立しない)」という視点。
言われてみれば確かにその通りで、「遊びはいつでもやめられる=参加者全員の合意がないと成立しない」。
逆に合意が成立すれば、「遊び」はどんな参加者の間でも、いかなるルールのもとでも成立します。
性別、年齢(本書では具体例としてあがってないけど場合によっては「生物種」)の違いを超えて「遊ぶ」ことができます。

現代の学校制度(教育制度)に関する批判は、本書の中心的なテーマですが、非常に痛烈です。
そもそ今の教育制度が作られた歴史を踏まえて、「学びの為に最適というよりもむしろその反対(子どもの学びを阻害している)の制度」。
「学校は犯罪者を入れておく監獄と同じかそれよりもひどい」(感覚的的に言われることが多いけど、本書では論理的に根拠が述べられています)。

最後の訳者の後書きに、内容がコンパクトにまとまっているので、まずはここを読むのがいいかもしれない。

私が今までの人生で、最適な時期に読めた、人生を変えた本はサラ・ハーディーの「マザー・ネイチャー」だったけど、この本はそれに並ぶ大ヒット作でした。
2018年出版されたばかりの本で、たまたま検索で引っ掛かかって、積読してましたが、今(2019年)読んで良かったー

こちらもお勧め↓

マザー・ネイチャー (上)
早川書房
サラ・ブラファー・ハーディー

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