【日記】「心を亡くすって書いて忙しい」

ちょっと調べ物をしていて、おもしろいブログをみつけました。

好きな仕事、していますか?
第8回 天王寺動物園 ゾウの飼育係さん
第13回 文化人類学者 竹村真一さん

まず、ゾウの話について。
動物園のキーパー(飼育係)のつらいところは、飼育動物と絶対的な信頼関係を築いてはいけないところだと思う。
個人で飼っている動物なら、一生つきあう覚悟があるなら、代わりのきかない絶対的な関係も築けることもあるかもしれないけど、動物園の動物はあくまで動物園の動物。
キーパーはいつ代わるかわからない存在。常に代わりのきく存在でありつづけなければならない。

このところ動物園の人達の話を聞く機会が多かったので、特にここはきついなぁ、と思った。
特にゾウとかオランウータンとか、寿命が長くて頭のいい動物とは、人間同士に匹敵するような信頼関係を築く必要があるけど、でもあくまで「代わりのきく関係」に留まらないといけない。
人間のもともとの性質を考えると、これって相当精神的につらい仕事だと思う。
ある程度の信頼関係を築かなければならない、でも愛してはいけない、愛されてもいけない、関係。

その点、研究者は気楽なもの。
この前ゴリラ研究者が「私はゴリラの世界に留学したと思っています」と言っていたけど、野外調査をする研究者は、基本的に動物たちが互いに関係を結んでいる姿を、第三者として眺めるだけ(もちろん、特定の個体と特別な関係を築く例もあるだろうけど)。
一見動物園に似ているように見える研究機関で飼われている動物に関しては、じつはこの点が動物園とは少し違う。
一人の研究者が特定の個体と特別な信頼関係を結んで、その人しか観察することができないことを観察する、ということも、動物園ほど否定されていない(ボノボのカンジとか、ゴリラのココとか、オウムヨウムのアレックスとか)。
もちろん、こうした手法を「客観性が保証されない、擬人主義に陥っている。」と批判する研究者もいるけど。

ホント、真面目に考えるとキーパーって身体的だけでなく精神的にもすごくしんどい仕事だと思う。


そして文化人類学者の竹村さんの話は、なんだか今の自分にとってものすごく印象深い話だった。
以下特に気になった部分を抜粋

前編より
-----------------------------
そうして、いろんなプロジェクトを
つくられているのですか?

10年位前からそういうプロジェクト※が賞をいただいて、社会に認知されてお金も出してもらえるようになって、今でこそたくさんのプロジェクトを動かしているんですけど、実際これに近いことを考え、実践しようとしていたのは20年以上前からですよね。

最初の10年くらいはすごくいいものが企画として持っていってもそれが実現しないとか山ほどあったんです。

でもその頃には今みたいに、実現してしまうと現場調整に取られる時間とエネルギーが膨大になってしまって、ゼロから考える時間がそのぶんに減っていくわけですよね。あのころ実現しないフラストレーションはあったけど、実現しない10年の間にたくさん絵を描いたから、今いろんなことができる。

自分の思ってることが形にならないということでフラストレーションを抱えてると思うんだけど、そういう時期にしか描けない、たくさんの絵があるの。その頃にどれだけたくさんの絵を描いておくかが、大きいんじゃないかと思いますね。

国鉄民営化など、それが形になり始めたら、絵を描く時間がなくなっていくんですよ。中曽根さんっていう、大きな仕事をされた首相がいますけれども、首相になるまで大変苦労された。でも、だからこそ何十冊の政策アイデアをまとめたノートがあった。だから実際自分が首相になった時にいっぱい種があったと聞きました。なんでもそうだと思いますね。

いい仕事をしているどんな人もそうだと思いますけど、アイデアを絵として書いたときは20年も前だったりすると思うんですね。その段階でその絵にどれだけの強度を持ってられるか。そこがすごく大きいんじゃないかな。

だからその時間は決して無駄じゃなくってすごく大切な時間だと思いますね。

-----------------------------

後編より
-----------------------------
スランプはありましたか?

形になかなかならない時期がありましたね。ここ10年くらいはスランプって言葉を思い出す暇もないですね。順調に進んでるかどうかも考える暇もない。

でも忙しいって言葉は使いたくないんです。心を亡くすって書いて忙しいですからね。忙しいって言って自分でそういう状況でいたいと思いませんからね。少なくともこのままでどうなんだろうって考える隙間がないくらい、やりたいことのまだ100分の1もできてなくて。その99は自分が頑張ればできるって確信があるんですよね。

自分がやってることにたいしてやり切れてないことが多くて、そういう意味で順調とは言えないですね。やれるはずなのにやってないって言う自分に対する引け目ばっかりで、スランプとか入り込んでくる隙間はないですね。やれるのにやりきってないことが多いですからその辺は順調だとは思いませんね。
-----------------------------

私も今、やりたい研究テーマは山のようにあるけど、時間もお金もない。
就職するためにも論文を書かねばならず、でもフィールドを維持する為にそれなりの労力も時間も、お金も使わないければならない。
両立なんて無理!と思ったこともあったけど、今は無理でもなんでもやるしかない!、と思っているからやっている。
でもきっと今抱えている「絵」が10年後、20年後にこそ生きるのかもしれない。
が、研究のスピードも速くなっている昨今、本当はそんな呑気なことを言っていてはいけない。
おもしろと思うテーマはすぐにでもデータをとりはじめ、今までとったデータもどんどん論文にして、フィールドも維持して…
ついつい「忙しい」って言いたくなるけど、ぶっちゃ全部好きでやっていること。心を亡くしちゃいけない。

そう、今の状況はまさに「やりたいことのまだ100分の1もできてなくて。その99は自分が頑張ればできるって確信があるんですよね。」
でも「このままでどうなんだろうって考える隙間」はいっぱいあるけど…なんせ就職できてないし(苦笑)

とりあえず、なんだか元気になれるというか、励まされる記事でした。
頑張るぞ!
とりあえずは論文、就職を。「このままでどうなんだろうって考える隙間」を一つづつ潰していきます。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

pofex
2008年07月12日 22:37
アレックスは,オウムではなくヨウムです.学者のはしくれなら,不確かな知識をブログにのせるべきではりません.
nouko
2008年07月13日 13:07
pofexさん、ご指摘ありがとうございます。修正しました。
今後はこのような間違いのないよう、気をつけたいと思います。
Q.
2008年07月14日 22:58
「心を亡くすって書いて…」という題名にふさわしい殺伐としたコメントですね。
木を見て森を見ず♪
pofex
2008年09月09日 23:04
Q.様
オウムとヨウムでは,少なくとも属レベルで異なると分類されています.森を見る前に木をしっかり見るべき,と書くと,あなたはまた殺伐としたなどと言うのでしょうね.科学者の発信する言葉は,ブログであろうと責任があるとは思いませんか?
Q.
2008年09月10日 20:50
pofexさん、私に当たりたいようですね♪
「オウムではなくヨウムです.」という指摘は結構です。間違いは直せばいいのです。
しかし「科学者…云々」というのは揚げ足取りにすぎません。もし貴方も学者のはしくれなら本論について議論してはいかがでしょう?
ヨウムの分類に拘るのは、pofexさんの学者としての限界ではないでしょうか。
敢えて貴方に付き合うなら、ヨウムもオウム目ですね?!…そして仮に極端に「鳥のアレックス」と書き換えても、論旨は変わりませんよ。
もっと頑張ってくださいネ…
pofex
2008年09月11日 22:40
Q様
目レベルと属レベルの違いがわからない方だから,「ヨウムもオウム目ですね?!」とお書きになるのですね.極端な例ですがQ様のご指摘あわせると,チンパンジーとネズミキツネザルは同じ目です.でも,大きさも生態も社会もとても違う霊長類ですよ.あなたの言葉を借りれば,論旨は大きく変わってくるのです.
 素人が発信するブログであれば,何も言う必要はありません.ただの駄文にすぎないのですから.そうではない,少なくとも責任ある立場の方のブログには確かに知識に立脚した発信が必要であるはずだから,本論以前の点についてコメントしたまでです.ちなみに,同属の異種どころか,同属同種でも,生息地によって生態は異なるため,同じ扱いはできません.まして同じ目とか同じ「鳥」とか...
日本の生物学教育の欠陥を露呈しているコメントですね.
Q.
2008年09月11日 23:19
なんだかpofexさんのコメントは便所の落書きのようですね。気の毒ですから、もう少しだけお付き合いしてあげます。

そう、チンパンジーもネズミキツネザルもサル目ですから、また仮に極端に「サルのカンジやココ」と書き換えたとしても論旨は変わりません。
そもそも文頭の表現も、ただ「ゾウ」としか書いてませんが文章として成立しています。
上位概念というモノを勉強し直してはいかがでしょうか。もし学者なら恥ずかしいですよ。

まぁ~、それほど文章に自信をお持ちなら…
pofexさんご自身の論文などご紹介いただければ、
とくにレシーヴからアクセプトまでの期間に注目して、内容も併せて拝見させていただきたいと思いますが。

この記事へのトラックバック