【追記】「ブルーバックス「心はどのように遺伝するか」」について

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さて、くだんの安藤先生の興味深い対談が現在進行中↓

http://ep.blog12.fc2.com/blog-entry-730.html


ということを宣伝するために、この記事を再掲載しました。

ちなみに私の下記の発言「人間はサンプル数が稼げるからうらやましい、うんねん」は倫理的には非常に問題にされなかねない、と理解はしています。
ただ、率直な感想である点も事実なので、一応残しておきます。
これもまた、研究(者)と倫理について考える、一つの材料になるかもしれないと思うので。

2007.4.13記
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研究室の書庫で、電車内読書用に手軽な本を物色していてみつけました。
心はどのように遺伝するか―双生児が語る新しい遺伝観」
ブルーバックスって内容が浅いので理系の人からは倦厭されることも多いけど、手軽といえば手軽。
「本邦初の日本人研究者による行動遺伝学の入門書」と銘打ってあるが、初版は2000年。
双生児研究って行動遺伝学ではよく聞くけど、まとまった話を読んだことがなかったので、知識を整理するにはよい本だった。
それに、最近読んでいた本が比較認知や発達心理を基盤にした進化心理学系に偏っていたので、遺伝学を基盤にしている研究の話はそれなりにおもしろかった。
しかし、この本読んでいてつくづく思ったのは「一卵性双生児ってうらやましい研究対象だよなぁ。」ってこと。
DNAは全く同一。多くの行動研究で一番やっかいな「個体差」はある意味、全く考慮しなくていい。しかも人間はたくさんいるから(人間は60億人もいるのに、オランウータンは2種あわせてもせいぜい6万頭ぐらいしかいない)、頑張ればサンプル数も結構稼げる。かなり厳密な結果も出せる。
行動を研究するうえで、これほど厳密な研究ができる対象って、じつはそうそうないのでは?(一番お手軽なのはもちろんマウスだろうけど)

しかし、これ読んでいるとどうしても「98%チンパンジー―分子人類学から見た現代遺伝学」を思い出してまう。
「98%チンパンジー」でジョナサン・マークスは
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「98%チンパンジー」 p.362
遺伝学者」という語を「謙虚」という語で修飾するにふさわしい場面など、ほとんど出くわすことはない
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と断言していたが、この本の作者の安藤寿康先生は比較的「謙虚」だと思う。
この本のなかでは、「遺伝する」っていうことは「決まってる」っていうことではない、ということを繰り返し述べているし。

環境も本人が選んでいる(どんな人と友人になるか、など)という点では一種の「延長された表現形」とみなせる場合もある、という話や、心の水路モデル、(詳しくは下記の安藤先生の対談参照のこと↓)の話は、「心の遺伝」をうまく説明していると思う。
「心理学的柔構造モデル」も一卵性双生児の「不思議な一致」を説明する、なかなかおもしろい説だと思うが、ご本人も認めているとおり、まだ煮詰まっていない感じだ(少なくともこの本の中では)。

と、このブログを書くのに色々サイトを検索していたら、ずっーと前に下記の安藤先生の対談を自分が読んでいたことを思い出した。
道理で、どの話も「聞いたことあるなぁ」と思ったわけだ(笑)

NetScience Interview Mail 2001/04/26 Vol.141
http://www.moriyama.com/netscience/Ando_Juko/Ando-1.html

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