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zoom RSS 【研究】 アルコール分解酵素の遺伝

<<   作成日時 : 2012/06/01 10:01   >>

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日本人は(世界的にみて)下戸=アルコールを体内で正常に分解できない人が多いと言われています。
ヒトの体内では、アルコールはまずアセトアルデヒドに分解されます。
アセトアルデヒドは毒性が強いですが(アセトアルデヒドが体内に残る=二日酔い)、これを分解するのに必要な酵素ALDH1、ALDH2(アルデヒト脱水酵素)を生産する能力は遺伝的に決まっています。

ALDH2をコードしている遺伝子のたった一つの塩基が正常型から変異すると、アセトアルデヒドが分解できなくなります。
この分解酵素の生産能力によって、日本人は次の3つのタイプに分かれるそうです。

(A)全く酒を飲めない人(どんなに「鍛えて」も飲めるようにならない人)
(B)鍛えれば少し飲めるようになる人
(C)鍛えなくても、お酒を飲める人

でもなんでBとCがそんなに能力違うのかなぁと前から思っていたのですが、最近下記の本を読んで謎が解けました。


日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス)
日本放送出版協会
篠田 謙一

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そうなると、一つだけ持っている人は、お酒の強さに関して言えば、ちょうど中間の能力を持つと考えたくなりますが、事情はちょっと複雑です。実はALDH2は、この遺伝子から作られるタンパク質のユニットが4つ合体して機能していますので、そのなかに一つでも変異型を持っていると正常に働きません。ですから四つのユニットすべてが正常型で構成されるのは確率的には十六分の一になってしまうのです。つまり正常型の遺伝子を一つもっているアセトアルデヒド分解能力は、二つ持つ人に比べると約六%ということになります。

(「日本人になった祖先たち」pp34-35)
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仮に、ALDH2の正常型の遺伝子をA、変異方をaとすると、私の場合
Aa(母)----Aa(父)
      |
     AA(私)
なので、私は両親よりお酒を飲めます(ちなみにフランス料理のシェフやっている私の妹もきっとAA)。

夫は、多分
Aa(母)----AA(父)
      |
     AA(夫)

おそらく娘は
AA(私)----AA(夫)
      |
     AA(娘)

なので、我が家は酒豪一家になること確定?(この先、もし2人目が産まれてもAAになるし)
でも娘がAaやaaの人を結婚相手に選んだら、孫はAaになるかも…

それから「日本人になった祖先たち」によると、ALDH2の変異型遺伝子の頻度はアフリカ、ヨーロッパでは0%=アフリカとヨーロッパには下戸はいない。
世界的にこの変異型が多いのは東アジアで、おそらく2万以上前(でも出アフリカ後だから8万年前よりは後)に中国南部で発生して、周辺に広がったと考えられているようです。

「日本人全体では正常型を持つ人が56%、1つの人が38%、変異型二つの人が4%存在すると言われていますが、日本における分布を県別にみてみると、地域的な偏りがあることがわかります。変異型は近畿地方を中心とした日本の中部地域に多く、正常型は東北と南九州、四国の太平洋側に多いのです。」(p37)

「日本人になった祖先たち」では、この後、どうして上記の地域に正常型が多いのか、という人類学的議論につながっていくのですが、個人的に興味深いのは、上記の正常型が多い地域は、強いお酒をよく飲む文化圏と重なりそう、という点。
特に南九州、四国の太平洋側は焼酎よく飲んでいるイメージがあるのですが。
このALDH2の変異型遺伝子の話は結構有名なので、きっと文化人類学的側面からも色々議論されているんでしょうね。

参考: 酒に強い人弱い人の全国分布

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コメント(6件)

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うーん父方は晩酌程度で母方は身上潰す程飲んだ人もいたという私は鍛えれば飲めるのかもしれない…。
アオキ
2012/06/03 18:41
母方の祖父母が両方、お酒に強い家系なら、アオキさんも鍛えれば飲める可能性ありますね。
でも母方の祖父母のどちらかが、それほど飲める人でなかったら、鍛えてもダメなタイプかも…
とりあえず、パッチテストしてみてはどうですか?

私の父は、若い頃は全然飲めず、ビール1杯で顔が真っ赤になるタイプだったそうです。
それでも飲み続けているうちに、一応焼酎を飲めるようになりました。
しかし私から見ると、「酔うために飲んでいる」感じで、あっという間に酔いつぶれていたし、お酒の味もわかっていないようでした(安い酒しか飲んでなかった)。

お酒を飲む「場」を楽しむ能力と、アルコールを分解する能力は、必ずしも一致しませんね。
nouko
2012/06/04 10:53
母方は下戸はいないと思いました。ビール一杯どころか一口で赤くなります。そしてお酒の味は好きですが飲まない理由は暑いからという。ヤフーのトピックスで心因性発熱というのがこの間でていてそれかなあと考え中です。子供の頃からよく熱がでるし続くので9度近くならないと気にもしてませんが。知恵熱では確実にないですねー。最近はノンアルコールビールとかもかなりましになったので飲みます。でもやっぱり本当のビールの方が香りも味も好きです。
アオキ
2012/06/04 17:14
アオキさんは鍛えれば飲めるようになる、中間タイプ(ALDH2ヘテロ)っぽいですね。
心因性発熱…私は無縁な感じですが、夫はこれかも(でも解熱剤は効くから違うか)。

暑がりについては、上記の篠田さんの「日本人になった祖先たち」の中で、「ミトコンドリアのハプロタイプの中で、東アジアにしか見られないタイプは、寒冷気候に適応した『暑がり』体質の人かもしれない。」という話が載ってました。ミトコンドリアのハプロタイプに機能的意味を見出す研究は、まだ発展途上のようですが、機能があるとみなした方が、現在の分布を上手く説明できそう、とありました。ミトコンドリアは体内でのエネルギー生産を担っているので、発熱とも関連しそうですよね。

そういえばALDH2の突然変異が東アジアで発生したのは、寒冷気候への適応と関係があるかも、と考察しているネットの記事もありました。
寒冷気候に適応して暑がりになる→アルコールによって体温が上昇すると、体に負担→アルコールを飲めない人の方が適応的(子孫を沢山残せた)、って図式?
ミトコンドリアのハプロタイプとALDH2のタイプの組み合わせを比較すると、関連見えるかも??まあ今となってはシャッフルされてしまっているので、きれいな関係は出てこない可能性の方が高そうですが。
nouko
2012/06/05 11:05
うーむ下戸も生物学的に考察すると深い…。解熱剤はどうしてもと言う時にしかのみませんが、あまり効かないのですよね。また過労で熱がでたかと解釈してました。いちいち寝込んでたら1Pも仕上がりませんし。
アオキ
2012/06/07 18:20
酒が飲めない民族がいる地域と飢餓遺伝子の高い地域が同じ場所に分布している。 
飢餓遺伝子とアルコール分解不活性遺伝子の所有者が同じ地域にいるのは偶然なのか分からないが恐らくALDHが飢餓状態に有利だったとか。
名無し
2014/06/17 08:02

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