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zoom RSS 【保全】 講演「ネパールにおける保護地域の管理システム」

<<   作成日時 : 2012/02/28 12:01   >>

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昨日は森林総研で行われた、下記のセミナーに参加してきました。

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「ネパールの自然保護区システムについて」

■日時
2012年2月27(月) 16:00〜17:00

■場所
森林総合研究所 第四輪講室 (茨城県つくば市松の里1)

■講演要旨
ネパールにおける保護地域の管理システム
Protected Area Management System in Nepal

マヘシュワール・ダカール ネパール連邦民主共和国・国立公園野生生物保全局
Maheshwar Dhakal, PhD. Department of National Parks and Wildlife Conservation, Nepal

 ネパールは内陸にある山岳国です。中国とインドの間に位置する南アジアの国です。国土は北海道の約1.8倍と狭いですが、豊かな動物相、植物相に恵まれています。ネパールには哺乳類が181種、鳥類が869種、爬虫類が118種、両生類が77種、蝶類が625種も生息しているのです。標高差が大きいこと、季節や場所により降水量が違うこと、そのため様々な植生タイプがあることが豊かな生物多様性の理由だと考えられます。
 ネパールはフラッグシップ種であるトラ、ゾウ、サイ、ワニ、ハゲタカが生息することでも有名です。トラの生息数は世界5番目ですし、世界で2番目に広いインドサイの生息地を有しています。2010年、2011年に関して言えば、ネパールのトラの生息数は155頭、インドサイの生息数は534頭でした。
 ネパール政府は、希少種や生態系を保全するために20の保護区を設立しました。ネパールの保護区システムは国土の23.23%(34000km2)を占めています。保護区には、保護すべき種や生態系の種類、それらのぜい弱性、国民の利益などに応じて、国立公園、野生生物保護区、狩猟区、バッファーゾーンなどのタイプがあります。
 ネパールの保護区システムのユニークな点といえば、ネパール国軍と地域コミュニティの関与といえるでしょう。軍隊は、パトロールや密猟の取り締まりを分担し、地域コミュニティは保全と地域住民の生活の改善のために様々な活動を行っています。
しかし、現実には、生息地の劣化、損失、法の実効性の欠如、機関の不足、調査不足、密猟や野生動物の違法な売買の横行など多くの問題を抱えています。ネパール政府は、科学的な調査がこれらの困難を打開してくれるものと強く信じています。
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サイエンスというよりは、保全に関する話でしたが、マレーシアで私が見聞している話と比べても非常に興味深かったです。
特にインドサイの生息数調査(1960年から継続して個体数調査を行っている)と密猟対策が圧巻でした。
そんなに昔から、きちんと調査が行われて記録が残っていることも驚きでしたが、調査方法がまたすごい。
「調査員がゾウに乗って、サイの個体数をカウントする!」
ネパールでは、国立公園内で観光客がゾウに乗ってサファリするエコツアーが人気だそうですが、ゾウが調査にも使われているのには驚きました。
でもゾウなら車が入れないような道なき道でも行けるし、川も渡れるし、ゾウ自体を忌避しない+ゾウの上からでも観察可能な中大型動物が対象の調査なら、有用なツールかもしれない。
観光客がゾウに乗るというエコツアーはインドやタイ、バリなどにもありますが、「ゾウに乗って野生のサイを見る」ツアーは、ネパールぐらいじゃないでしょうか(それにしてもなんて豪勢な組み合わせ…)。

密猟も、一時は10頭/年を越えていた(←Maxの数値は記憶があやふやですが)密猟されたサイの数は、2011年は1頭まで減少。
大物密猟者を捕まえて、「いつ、どこで、どうやってサイを密猟したのか、密猟したサイをどうしたのか」という情報を聞き取ってGISに落としたり、地域コミュニティーに向けた啓蒙活動や地域住民の生活を向上させるようなプロジェクト(小規模バイオ燃料施設の導入など)の実施、多様なステークホルダーが参加する組織を地域で立ち上げて、密猟対策の合意形成を図ったこと、などが効果をあげたようです。
軍が密猟者の取締に協力していることもそれなりに効果があるようです。

「野生動物の保全に関わる人や組織が、世界的なネットワークを作っているのと同じように、(サイの)密猟者も世界的規模で強力なネットワークを作っているらしい。例えば、ネパールのある大物密猟者は、別な名義のパスポートで今マレーシアにいることがわかっている。」という話も出ました。
以前、ナショジオの記事にもなっていましたが、マレーシア(特に半島)には、密猟・ブラックマーケットの世界的な拠点の一つがあるようです。

野生動物も密猟者も、インドとネパールの国教を行き来するので(普通の人もパスポート・査証なしで移動可能)、今後は保全対策をインドとも協調して取り組まないといけない、国の予算が少ないので調査やパトロールの人手や費用を確保するのが課題、といった話もでました。


それにしても、ネパールはここ10年ほど政情が安定しないにもかかわらず、これでけ保全活動が行われているということは驚き。
WWFやIUCNなどの国際的な自然保護団体も色々プロジェクトを行っているようですが、それを受け入れられる地域コミュニティがあるのでしょう(中央政府は混乱していても)し、国民性というかそういうことも影響していそうな気がします。
政情が安定したら、もっと良くなるんじゃないか、と思いました。

外国人研究者による(野生生物の)調査研究も大歓迎!ということで、ダカールさんの来日では、調査研究プロジェクトのプロモーションも目的の一つだそうです。
私自身は今すぐネパールでは自分で研究できそうもありませんが、哺乳類の調査地としてはかなり魅力を感じました。
(研究は無理でもせめてエコツアーには行きたい!)


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